「黒死館殺人事件」を読み終わりました。

どうでもいいですが絶妙に「?」な表紙絵ですww
著者は、小栗虫太郎先生。
江戸川乱歩氏登場から10年後に出現した作家です。
「黒死館殺人事件」が出たのは昭和9年。
私が持っている文庫版には、江戸川乱歩氏の序文がついており、江戸川先生がこの小説の特徴や面白いところや楽しみ方を教えてくれます。
本書は、日本探偵小説史上の「三大奇書」の一つとされております。
というか恒例の、本の裏にある紹介文がないので、ウィキペディアをコピペしますw
--------------------------------------------------
『黒死館殺人事件』(こくしかんさつじんじけん)は、小栗虫太郎の著した長編探偵小説である。
雑誌「新青年」に1934年4月~12月号にかけて連載された。挿絵は松野一夫。1935年に新潮社より単行本が刊行され、太平洋戦争後も早川書房のハヤカワポケットミステリや、講談社・社会思想社など多くの出版社から繰り返し再版されている。
夢野久作の『ドグラ・マグラ』、中井英夫の『虚無への供物』とともに、日本探偵小説史上の「三大奇書」の一つとされており、また日本のオカルティズム・衒学趣味小説の代表書との位置づけがされている。
黒死館に住まうのは、天正遣欧少年使節千々石ミゲルが、カテリナ・ディ・メディチの隠し子と言われる妖妃カペルロ・ビアンカと密通してより、呪われた血統を連ねる神聖家族・降矢木家である。この館が「黒死館」と呼ばれるのは、かつて黒死病の死者を詰め込んだ城館に由来するという。館の当主、降矢木算哲は既に歿し、遺児の降矢木旗太郎が後を継いで現当主となっていた。算哲は欧州で医学と魔術を極めて帰国したが、同時に連れ来たる西洋人の赤子4人を館内に押し込め、何十年も門外不出の絃楽四重奏団として育て上げていた。その黒死館を舞台として、ファウストの呪文とともに繰り広げられる奇怪な殺人劇が、降矢木家に襲いかかる。
詳細はこちら
----------------------------------------------------
というわけで、これについてはサイトを検索していてネタバレに遭遇することがなかったので一安心ですが、うっかり調べすぎるといろいろネタや仕掛けがわかってしまうので注意。
とにかく、いくつかの書評を見ればこれがどういう雰囲気か想像がつくかも知れない。
何しろ、この小説は著作権が切れているらしく、青空文庫というところにテキスト化されて全文閲覧可能であり、これがHTMLページ1ページに全文掲載されているので、激しい分量の割りにマウスをキューっとやると最後の方までいっちゃうからさらに要注意だ。立ち読み感覚なら覗いてみるといいかも。
ああ、長かったけれど、面白かった。一生懸命読みました。
この小説は、主人公、超知的探偵法水麟太郎のペダンチックなトークが終始爆裂する感じになっており、まぁ、「奇書」っていうぐらいなんで、それを踏まえ、そういう奇妙なところを楽しみました。
もちろん、ストーリー展開や章と章のつなぎ(新事実が発覚して次章へ!みたいな展開)なんかもすごい面白かったし、密室や人形や足跡やダイニングメッセージなどなどこれぞ探偵小説といったワクワク素材も盛りだくさんで、やっぱり最後の方は真犯人が気になって猛スピードで読みましたが、
読み終わったあと、恍惚とした後読感の中で私は「ああ面白かった。もう1回読まなあかん」と思うくらい、、、思うくらい、、、内容が濃かったw
要するに1回読んだだけではまだ噛みたりないのだ。
スルメに例えるならまだまだ噛む余地があるのだ。
しかし、奇書というわけで、奇妙、奇妙と、喜んで読むのもいいが、
どうも、そこまで奇妙という感じもしなかったかも知れない。探偵小説を読みまくった私ではないので、そんなに目が肥えていないせいで「普通の探偵小説じゃない」というのがよくわからなかったというのもある。
奇妙というか、趣向が面白いというのはまず言える。知識や素材の大洪水である。
結局なにしろ不思議なのは、小説としての奇妙というより、私としては著者の頭の中がどうなっているかがすごい気になったという意味では、そちらの方がまさに「奇」の一語に尽きる。
仕方がないので私は木のイチゴが欲しくなる。
「いいかね秋山君、イチゴというのは木になるのであって、決して根っこにできるものではないのだよ」と、雰囲気をまねて探偵っぽくイチゴの話しをしてみても、私の知識のなさが露呈するばかりである。
つまり、口マネをしてもしょうがないので著作権も切れてることだし彼のトークを一個引用すると、
================
「ウイチグス呪法典はいわゆる技巧呪術(アート・マジック)で、今日の正確科学を、呪詛(じゅそ)と邪悪の衣で包んだものと云われているからだよ。元来ウイチグスという人は、亜剌比亜(アラブ)・希臘(ヘレニック)の科学を呼称したシルヴェスター二世十三使徒の一人なんだ。ところが、無謀にもその一派は羅馬(ローマ)教会に大啓蒙運動を起した。で、結局十二人は異端焚殺に逢ってしまったのだが、ウイチグスのみは秘かに遁(のが)れ、この大技巧呪術書を完成したと伝えられている。それが後年になって、ボッカネグロの築城術やヴォーバンの攻城法、また、デイやクロウサアの魔鏡術やカリオストロの煉金術、それに、ボッチゲルの磁器製造法からホーヘンハイムやグラハムの治療医学にまで素因をなしていると云われるのだから、驚くべきじゃないか。また、猶太秘釈義(ユダヤカバラ)法からは、四百二十の暗号がつくれると云うけれども、それ以外のものはいわゆる純正呪術であって、荒唐無稽もきわまった代物ばかりなんだ。だから支倉君、僕等が真実怖れていいのは、ウイチグス呪法典一つのみと云っていいのさ」
================
要するに「ここではウイチグス呪法典がとても重要なのだ」ということが言いたいのにこれだけ語ってるというのは驚くべきじゃないかww
そんな小説です。こういうトークばっかりですw
やはり王道の探偵小説と比べ、西洋のエッセンスを多く含んでいるという感じがします。
私の手元にある本では、小栗虫太郎の息子により虫太郎氏の生活面などが回想されている付録文もあり、これも非常に読み応えがありました。めざましい活躍が期待される中、戦争になだれこむ日本、そして戦後を向かえた後にやってくる早すぎる小説家の死には、戦争の理不尽さを感じずにはいられないといったところであります。
↓僕が持ってるのはこちらの本です(表紙はないけどこちらは当時の挿絵がついてます)
最近のコメント